広告会社

クリエイティブディレクター篠原誠さんに聞く
「広告業界がキラキラするために今必要なこと」

自分で考えた仮説が当たると嬉しい

―― まずは自己紹介からお願いします。

篠原CMプランナーとコピーライター出身、
クリエイティブディレクターの篠原誠といいます。

主な仕事は、KDDIの三太郎シリーズや
高杉くんシリーズ、UQモバイル、トヨタイムズ、
花王アタックゼロです。

CM中心のキャンペーンの仕事が多いですが、
本人はいたってメディアニュートラルで
やっております。

―― 仕事のやりがいを教えてください。

篠原自分やチームが考えたアイデアで、
商品や企業のブランドをあるべき位置に
押し上げたときの充実感です。

自分の予想が当たることも好きで、
それをもとにクリエイティブなアイデアを開発して、
成功したときは嬉しいです。

―― あるべき位置とは、
具体的にどのような状態なのでしょうか。

篠原「あるべき位置」というのは僕が思い描く、
クライアントである企業ブランドや商品ブランドが、
「世の中からこういうふうに思われたらいいな」
というイメージです。

自分たちが考えたアイデアによって、
ブランドをあるべき位置に移動させることによって、
商品が売れたり企業価値が向上したりする
という予測を立てて、
その達成に向けて仕事を進めています。


仕事に取り組むときの、自分だけのKPI
(Key Performance Indicator)になります。

―― クライアントとは、
あるべき位置を共有されますか。

篠原自分だけが分かるクリエイティブディレクションの
指針にしているだけなので、
クライアントに伝えることは滅多にないですね。

ゴールのレベルも案件によって異なります。

たとえば、UQモバイルの場合は
「2強になったらいいな」と具体的でしたし、
auの場合は「おもカワイイ存在になりたい」
という抽象的な目標でした。

自分の中でゴールを設定できたら、
いったんゴールは忘れて、ゼロから企画します。
たくさん。

最後にどのアイデアにするかを選択するときに、
ゴールに1番運んでくれそうなアイデアを
選び出します。


もちろん100%予測が当たるわけではなくて、
ゴールにたどり着けるだけの
パワーを持ったアイデアが出ないこともありますし、
本当に毎回トライ&エラーです。

個人的は、ホームランを打ちたいというよりは、
三振したくないというか、
ヒットを打ち続けていきたいと思っています。

“おかしさ”と“想像力”

―― 篠原さんが広告業界に入ってから
いろいろな変遷があったと思いますが、
業界に身を置く立場で
おかしいと感じる瞬間はありますか。

篠原おかしいと思う瞬間はそんなにない、
というか、しょっちゅうあるかもしれないけど、
覚えていないですね。

おかしいと言えば、ずっとおかしいですから。

でも、おかしい方が面白いし、おかしいことに対して
ネガティブな感情があまりないんですよね。

理屈の合わないことはけっこう面白いですし、
理屈が合うとつまらなくなっちゃうんですよね。

世の中は全部正しくないですし、
正しくないことが普通で面白いと思います。

正しいことは予測がつくから面白くなくて、
変なことが起きたら、
そういうものだと受け入れていると
また面白いですよね。

―― 篠原さんは穏やかなイメージなのですが、
理不尽なことに対して怒ることはあるんですか。

篠原怒らないんですよね。
怒るとしたら、単純に人としてどうなのか
っていうことだけです。

調子づくなよというときも、
自戒を込めて言っています。

電通を退社する時に言ったんですが、
発注者って別に偉くないんです。

お金の動きを見ると、広告会社からプロダクション
という順番になるんですけど、別に偉くないんですよ。

むしろ、同じゴールをめざすメンバーですよね。

リレーでいうと、
第一走者と第二走者の違いぐらいのことです。

それなのに、プロダクションにコンテを発注して、
コンテが上がる時間を知っているのに
コンテチェックしないとか、
返事をくださいと連絡が来ているのに
返事をしないとか。

そういうことをすると、
プロダクションの人が帰れないじゃないですか。

とにかく、想像力がない人や頑張らない人には
怒りますね。

―― 相手の時間をいただいている、
という意識ですね。

篠原そうですね。

みんなに家族がいて、事情もあります。

たまたまその日、実は奥さんと喧嘩していたり、
たまたま大切なパートナーとの重要な時期で
そちらを優先しないと人生の幸福が
損なわれる可能性もあったりするわけです。

コンテ発注を受けている
プロダクションマネージャーが、
その日に偶然、子どもが熱を出していたり、
家で奥さんが寝込んでいたりする可能性も
ゼロではないわけです。

誰もがいろいろな、
それぞれの人生を歩んでいるから、
そのことを想像できない人が腹立たしいです。


いつも言うんですよね、
「君は何者でもないよ」って。
でも滅多に怒らないです、本当に。
想像力がない人、頑張らない人にだけです。

“愛すること”と“考えること”

―― 次に、クライアントや広告会社、
プロダクション、制作スタッフ
それぞれに求めることを
お聞きしていきます。
まず、クライアントに求めたいことは
ありますか。

篠原うーん、難しいですね。
クライアントに求めることって何だろう。

苦手なクライアントは明確で、
商品を愛していない人は本当に苦手です。
自分の会社や商品を愛している人が好きですね。

―― 商品を愛していないというのは
具体的にはどういうことでしょうか。

篠原社内を見ているんですよね。

商品のことをもっと考えて、もっと売れるように、
自分たちの商品が世の中に広がることで
何か幸せが生まれるのではないかと
信じて開発したものを売りたいはずなのに、
「◯◯部長がこう言っているのを収めたい」
とか言われると、商品とは関係ないことですし、
何とかしてほしいなと思っちゃいます。


本当にそれでいいのかって。

だから、不器用でもいいから
商品が好きな人が好きです。

特に開発者の話を聞くのは大好きですね。
開発者は本当に商品を愛しているので。

もちろん、開発者の言っていることを
そのまま形にすると、
それはそれで良いコミュニケーションには
ならないことが多いけど、
こうした方が良いですよと言えるんで。

―― 次は、広告会社に求めることはありますか。

篠原クリエイティブスタッフに求めることでいうと、
「頑張ること」ですね。

時間をかけて、すごく考えた方がいいよ
っていうことです。

ラッキーなことに、
この業界にはウサイン・ボルトのような人がいません。

僕が100m選手で、ボルトのような人がいたら
「勝てねぇじゃん」って、
やる気を無くしちゃうと思います。


広告業界で
いろいろな有名な人にお会いしましたけど、
僕はボルトのような天才には
会ったことがありません。

能力の差はあれど、
一案で答えにたどり着ける人がいたとして、
その十分の一の能力しかないんだったら、
十案考えればいいんですよね。

この仕事は、何回も打席に立てるし、
バットを振れるじゃないですか。
ということは、とにかく振ればいいだけだなって。

打席がたくさんあって、
1,000ストライク取られても
バッターアウトにならなくて、
1,001打席目に当たったら、
その1,001打席目を提案すればいいんですから。

―― 広告会社にはいろいろな職種の人がいますが、
全体を見た時に求めることはありますか?

篠原職種に関わらず、「考えること」だと思っています。

優秀な営業と優秀じゃない営業の差って、
考える営業か考えてない営業かだと思うんです。

考えない営業は、右から来たメールを
そのまま左に流します。

考える営業は、「もし自分だったらどう答えようか」
「これは意味が分からないから質問しよう」と
一度考えるんです。

質問をして、自分が理解して、咀嚼して、
関係者にはこういう風に伝えるほうがいいなって、
考えてから伝える。

これってすごく考えていると思うんですね。

だから、職種を問わず、「考える」ことだと思います。

あと、クリエイティビティも大事なんですけど、
意外と大事なのはイマジネーション、想像力です。

みんなで企画しているクリエイティブが
世の中に出た時、世の中の人が
どういう風に感じるだろうかっていうは、
クリエイティビティじゃなくて
イマジネーションですよね。

そういう意味で、
イマジネーションのほうが大事なのかもしれません。

メディアでもPR会社でも、
プロダクションの人だって同じだと思います。

―― 相手の立場に立って、
シミュレーションすることですね。

篠原そうですね。

考えたり、企画したりすることは
どの部署も一緒ですからね。

実は企画できる人、できない人の差があるんです。

CMプランナーでも、デジタル領域や
PRプランニング領域といった
畑が違うことに取り組む時、
やっぱりCMプランニングという企画ができる人は、
他の領域でも面白い案を出してくるんですよ。


企画できる人は何が面白いかって
分かっているんで企画できます。

企画ができない人は、
どこに行っても企画が面白くありません。

同じPRプランニングだろうが、
デジタルプランニングだろうが何やろうが、本当に。

―― 想像力、イマジネーションが足りていない
ということでしょうか。

篠原それもありますし、
やっぱりたくさん考えるってことだと思います。

たくさん考えるのがしんどいと感じる人は
企画する仕事、コミュニケーションプランニングでも、
クリエーティブプランニングでも
PRプランニングでも、
プランニングと言葉がつく仕事は
ちょっと合ってないですね。

考えることが仕事なのに、
考えることがしんどいというのは
向いていないと思います。

才能がなくても、量で質を上げられる仕事なので、
たくさん考えたらある程度戦えるようになります。


広告業界はもう空前のブルーオーシャンだ
ということです。

60歳になってもCMの仕事が
絶えず舞い込むような業界で、
担い手が少ないのに
仕事が減っていない状況です。

―― 何か理由があるのでしょうか。

篠原なり手が少なくなったからですね。

昔、僕の時代は野球やサッカーが人気で、
選択肢が2つくらいでした。

同じく、クリエイティブを志す人たちは
みんなCMをやりたがっていました。

その中で勝ち抜いていくと、30代で開花し、
40代や50代でクリエイティブディレクターに
なっていくんですが、
今、CMプランナーの存在が少なくなりました。

20代後半から30代前半でちゃんと企画ができて、
コピーも書ける若手には仕事が集中しています。

―― 昔と違って、最近では若手で電通を
辞めることが珍しくなくなってきていますよね。

篠原辞めますよね。

昔と違うのは、CM企画や
コピーライティングだけでなく、
もう少し広い範囲のスキルを持っていないと
ブレイクスルーしづらくなったなと感じます。

ただ、スターとされるクリエイターは、
意外にも普通のコピーライターだったりします。

考える範囲は広がる一方で、
やはり軸となる技術がなければ厳しいです。

最終的に問われるのは、自分の手のひらに
何の石(技術)を持っているのかということで、
それがないと仕事の依頼は届きません。

CMなのか、コピーなのか、
アートディレクションなのか、
確固たる技術を持っていれば、
すごく面白い仕事だと思います。

気持ちの持ち方ひとつで
未来は変えられる

―― 次に、プロダクションに
期待することはありますか。

篠原プロダクションというか、CMを作っているのって、
本当はプロダクションマネージャーだと
思っています。

広告会社やディレクターが
作っているわけじゃなくて、
俺たちが作っているんだっていう意気込みを
持ち続けてほしいし、本当にそう思っているんで。

違う職種ですけど、プロダクションマネージャーは
本当に大変だと思います。

プロダクションは、
最終的にアウトプットを作れることが
すごく大きいことだと思っていて、
僕は企画することはできるけど、
実際に具現化することは
他の誰かに頼らなければなりません。

プロダクションは広告やテレビ番組、
映画やショートフィルムも作ることができます。

それって本当にすごいことです。

最終的なアウトプットを作り上げ、
それを人々が見て感動や喜びをもたらすというのは
素晴らしい仕事、本当にかっこいい職業だと
思います。

―― 受発注の関係もありますし、
また忙しくしていると、気概を保つのは
難しいのかもしれませんね。

篠原こればっかりは、その仕事の根っこが
楽しめるかどうかが大きいと思います。

さっきも言ったように、
考えることをしんどいと感じてしまうんだったら
クリエイティブに来ちゃダメだよって思うのと一緒で、
やっぱり楽しめていないと辛くなりますし。

もう一つあるとすれば、
自分にとってのゴールや希望ですね。

たとえば、「とにかく走れ」って言われても
何だか頑張れないけれど、
「あそこまで走れ」って言われたら
頑張れるじゃないか。

すごく単純に言うと、憧れのプロデューサーや
プロダクションマネージャーがいて、
「将来あんな風になりたいな」っていう
具体的な人がいるといいんでしょうね。

具体的じゃなくても、
業界として夢を提示できていないことが
問題かもしれません。

僕らの時代で言うと、岡康道さんのような
クリエイティブのスターがいて、
岡さんみたいになりたいなとか、
他の誰かのようになりたいといった
目標がありました。

自分の中でこうなりたいという
明確な目標を示すことができれば、
業界全体としてもっと良くなる気がしています。

―― 成功例があると目標にしやすいですよね。

篠原そうですね。

僕、実は1度だけ、仕事で泣いたことがあって。

徐々に自信がついてきた30歳くらいの時、
三浦武彦さんと一緒に仕事をしました。

三浦さんとの企画打合せが終わった後、
数人で会議室で飲んでいた時、三浦さんから
「篠原は中の上だな」と言われたんです。

もちろん、中の上でも悪くはないと思うんですが、
当時、雲の上の存在みたいな三浦さんが
「中の上」と言った瞬間に、
自分の点数が決まったというか、
「僕は75点なんだ」と感じました。

これからもクリエイティブの人生が続くのに、
もう75点満点って言われた感じがして、
それがすごく悔しかったんです。

でも悔しい気持ちと同時に、
「中の上がどこまで行けるか見せてやるよ」
と思ったんです。

だから、周りのみんなに伝えているのは、
ボルトはいないし、俺なんて中の上だけど、
死ぬほど頑張って、死ぬほど考えて、
自分の得意なことを磨いて、諦めなかったということ。

そして、今も諦めてないし、挑戦しています。

中の上でもこんなになれるよという姿を見せたくて、
独立してから頑張っている理由のひとつです。


中の上でもここまで辿り着けるんだから、
この業界、夢があります。

―― 本人の気持ちひとつで
未来は大きく変わるということですね。

篠原本当にそうだと思います。

一緒に企画すると、その人の実力って
すぐに分かるんですよ。
スポーツと一緒ですね。

腕相撲で組んだ瞬間、強いな、弱いなって
分かるのと一緒で、分かるんです。

組んだ瞬間にヘナチョコだなと分かるけど、
その人が今後、どれくらい力強くなるかなんて
誰にも分からないんです。

結局、頑張った人が最後には勝つと思います。

どの業界もそうかもしれないけど、
才能が8割、9割を占めるような仕事はありません。

努力が意外と多く、6割くらいを占めます。

運もあるけれど、運以外を抜けば6割くらい
努力が占める割合の業界だから、
俺はすごい夢あると思いますけどね。

―― 最近は広告会社を介さず、
広告主とプロダクションで
直接取引するケースが増えていますね。

篠原広告主がプロダクションに直接発注する流れは、
もっと増えてきてもおかしくないです。

以前、どうしてプロダクションと
広告会社の機能が一体になった会社がないのか
と言ったんですけど、
プロダクションが中心になると考えるからです。

プロダクションがいなければ、
成り立たないんですよね。

広告会社やディレクターがいなくても
形になりますけど、
プロダクションは絶対外せない中核的な存在です。

だから、本当に広告を作っているのは
プロダクションだと思います。

―― 次に、制作スタッフの皆さんに求めることは
ありますか。

篠原それはもう、
それぞれがプロの仕事をしてほしいですね。

みんなが思っていることだと思います。

その人が期待されている
パフォーマンスを発揮する以外はないですよね。

発揮しなかったら次の仕事が来ないでしょうし、
シビアな世界なんで。

―― 発揮するというよりも、発注されたこと
だけをやるという人もいると思うのですが、
それはそれでプロと受け止めれば
いいんでしょうか。

篠原その辺のレベルになると、
その人自身の美学だと思います。

僕は、美学を大事にするというか、
かっこいい方がいいよねという考え方なので、
それで仕事を流しちゃう人は
単純にかっこ悪いなって思いますね。

でも、自分と立場が違うので
なんとも言えないですね。

制作スタッフになればなるほど、
どうしてもアート色や作家性が強くなると思います。

作家性の部分で差が出るので、
こうあるべきというのは、
ちょっと僕の中で言いにくいですね。

僕は、自分が携わったものを
作品って呼ぶことにざわつきを覚えます。

僕が作っているのは広告であって、
作品ではないと思っています。

自分を卑下しているわけではなくて、
「広告舐めんなよ」
「ちゃんと結果を出さないといけない」
と思っているので、アートだと思うなよって。

―― 篠原さんと同じく、作品と呼ぶのは
おこがましいとおっしゃる方も
いらっしゃいますね。

篠原広告ってすごいですからね。

やはり、あれだけたくさんの人の目に触れ、
人の心が動き、商品が売れるというのは
すごいことですよね。

何かと比較して悪いってことじゃないけれど、
ただ、アートとは確実に一線を画しているな
って思います。

私が考える、
「広告業界をキラキラさせるために、
今必要なこと」

―― 最後に、「広告業界をキラキラさせるため、
より良くするために必要なこと」は
何だと思いますか?

篠原スターが必要ですね。

広告業界にはマスメディア領域のスターはいますが、
たとえば、『友達がやってるカフェ/バー』や
『いい人すぎるよ展』などを企画した
明円卓のような、異なる形で話題になったり、
バズったりすることで、憧れが生まれるんですよね。

その憧れをどうやって生むかでいうと、
スターが生むことだと言えるのですが、
スターが生まれるための環境になっていることが
一番重要だと思います。

―― 広告業界は中身が見えにくいことも
一因かもしれません。
たとえば、SNSを活用して、仕事の中身をもっと見せていくほうが良いのでしょうか。

篠原それは個人の考え方によりますね。

中身を出したい人もいれば、
私は完全に出さない方が美学だと思っています。

スターには花が咲く人もいれば、
咲かない人もいると思っています。

以前、BLUEとGREENの今永政雄さんと、
「俺たちは華ないですよね」って
話をしたことがあります。


「ACCでグランプリとゴールドを受賞した2人が
ここに突っ立っているのに、誰も話しかけてこない
この状況を見てくださいよ。
ほらあれ、ゴンパ(権八成裕)くんを見てください。
ゴンパくんの周りにはたくさん人いるじゃないですか。
花があるんですよ。
俺たちは花を咲かせないシダ植物なんです」 って(笑)。

そんなこと言うなよとか言っていたんですけど、
人には華がある、ないっていうのがあると思います。

なので、華のある人に頑張ってもらいたいと思います。

―― 同じシダ植物でも、スターの方はたくさんいらっしゃいますよね。

篠原そうですね、シダはシダなりに。

あんな感じでも、あれぐらい収益あげられるんだ、
と思ってもらえるように、独立以降やってきました。


そして一緒に仕事する人には、
テクニックや方法を伝えていて、
自分が誰かに憧れられるというよりは、
自分のもとから憧れられるような人が
育ってほしいなと考えています。

―― 育てることは難しいですね。
人によって成長のタイミングが異なりますし、育て方も個々に違います。

篠原確かに、育つタイミングが速い人もいれば、
逆に遅い人もいます。

ゆっくりにしか育たないんだけど、
大きな花を咲かす人もいるので難しいですよね。

ただ、あまり見返りを期待せずに育てることが大切で、
時折、花が咲くと幸せですよね。

最近は、自分が賞を欲しがらなくなって、
若い人が賞を獲る方が嬉しいと
思うようになりました。

業界が活性化するし、ちょっとでも良い方向に
進むと思うんですよね。

―― 篠原さん、ありがとうございました!

篠原 誠(しのはら まこと)

株式会社 篠原誠事務所 代表取締役CEO/クリエイティブディレクター
1995年に電通入社。 2018年に篠原誠事務所設立。 CM好感度ランキング1位を獲得し続けるau「三太郎シリーズ」をはじめ、UQUEEN、トヨタイムズ、トライ、エステー、三井不動産、湖池屋、マクドナルド、タマホーム、花王アタック、キリン一番搾りなど数多くの広告を手掛ける。

  • 聞き手/株式会社KEY pro
    CEO/プロデューサー
    城殿 裕樹
  • 記事公開日/2024.2.1
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